足場の種類や工法

建築現場で用いられる主な足場の種類はくさび式足場、枠組み足場、単管足場、単管ブラケット足場で、 これら以外にも足場の種類はありますが、足場の名称というよりも足場の工法の名称という場合もあります。ここでは足場といった時に言及される様々な足場の種類や工法について見ていきましょう。

吊り足場

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吊り足場とはその名の通り足場板を鉄パイプやチェーンなどで吊り下げることで利用する足場のことを言います。高層建築物や橋梁工事などで足場を地面に組み立てることが不可能な高所作業の足場として用いられます。

普通の住宅の工事では、足場の柱を地面に接する形で設置し2層3層と足場を積み上げていきます。しかし川の水面から20メートルぐらいの高さにある橋を工事する場合などは、川の中に足場を組み立ててしまうと、川の流れが少し急になっただけで流されてしまい大事故に発展するなどがありえます。橋梁工事や高層工事など特殊な工事においては不可欠な候補として広く利用されています。

吊り足場のメリット

吊り足場の最大のメリットは足場を設置する地面がなくても使用できるということです。橋梁工事のようにそれが必須であることもあれば、隣地との隙間が少ない場合に使用されることもあります。
また、足場は空き巣の侵入路になるなど防犯面での問題が指摘されることがありますが吊り足場の場合は部外者が足場から侵入できないのもメリットです。
建物全体を長期間シートで覆わなくてもよいため、居住者のストレスが低くなることもメリットと言えます。

吊り足場のデメリット

他の種類の足場と比べると地面との接点がない分不安定になりやすく、一般的に高所作業で使われるものであるため、少しの不注意が重大な事故につながる危険性があります。そのため徹底した安全基準が設けられており有資格者の作業員の確保が必要となります。
建物の壁面全体を縦方向にも横方向にも移動できる他の足場と比べ、移動に制限があるため、作業効率が落ち全体のコストが割高になってしまうという傾向もあります。
また第三者による完了検査が困難な箇所が発生してしまうということもあります。

先行足場

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手すり先行工法

先行足場とは正確には足場の名称ではなく足場の工法の名称です。手すり先行工法と言います。
従来の足場では1段目の床を作ったら、 その上に2段目の床を積み重ね、その上にさらに3段目の床を積み重ねる、という手順で高さを確保していきます。その時々の最上段の床には手すりがなく、不安定な作業となっていました。そのため足場組立は大変危険な作業でした。
手すり先行工法は最上段の足場の床を取り付ける前に手すりを先行して取り付け、足場の組立て時には、既に手すりのある状態で作業を行えるようにする方法です。また解体時も手すりを残しながら解体していきます。墜落を防止できる工法として近年普及しています。
厚生労働省は手すり先行工法の安全性の高さから足場先行工法のガイドラインを定め、普及を推し進めており、ガイドラインを発行しています。

足場先行工法

これも足場の名称ではなく後方の名称ですが、建物を新築する際に建物を建てるよりも前に足場を先に作ってしまう工法を足場先行工法と言います。これも厚生労働省がガイドラインを定め普及を推進しています。
足場先行工法のメリットは、 先に足場ができるために墜落のリスクを小さくすることができることです。建物の背を少しずつ伸ばしていくと、どうしても狭い柱の上に立ったり梯子の上で作業するなどの不安定な足場で仕事をする状況が生まれやすくなります。この状況を解消できるのがメリットです。
また一度建て方作業を始めたら手を止めずに行えることもメリットと言えます。

デメリットとしては建物予定地を足場で囲むことになるので、材料の持ち込みには足場の隙間を抜けていかなければならず不自由になることや、クレーン車を接近させて使うことができなくなります。
また足場だけで自立させることになるので、あまり高いと不安定になるため、実際に使用されるのは低層階の住宅になります。

張出し足場

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張出し足場は、隣の建物との間が狭かったり敷地そのものが狭かったりして、 地面に足場を設置するスペースが取れない時に用いられます。建物の途中から外側に張り出し材を取り付けて、その上に枠組み足場などを組み立てる構造のものとなります。
張り出し材にはアングル材をトラス状に組んだ足場ブラケットやアングルブラケットなどが使用されます。

張出し足場のメリット

足場設置のスペースが十分に確保できなくても設置できることがメリットです。

張出し足場のデメリット

構造が片持ちであることや、アンカーボルトなどによる躯体への取り付け部分があることから、構造が特殊で非常にありデリケートでもあるため、設置に関して緻密な計算が必要となります。

移動式足場(ローリングタワー)

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移動式足場とは通称ローリングタワーとも呼ばれます。高いところの作業をするための移動式の足場で、枠組み足場の脚部にキャスターをつけて移動できるようにしたものです。
通常の足場は設置したその場所に固定するようになっているので、 これを移動させるにはいちいちパーツを外して動かさなければなりません。ローリングタワーの場合はその必要がなく組み立てた状態のまま移動ができるので何度も解体や組み立てをしなくてもよいという特徴があります。
用途としては元来脚立やはしごなどを用いていた低い高さの作業に最適です。一定の高さのある部分であれば幅広く用いられており、建築だけではなく設備配管塗装などでも広く用いられ、作業場も土木建築工事から航空機の組立や補修工事といったものにまで及びます。
移動式足場は現場で組み立てます。鋼管をやぐらのように組んで作成していきます。適正な強度を保ちつつ、ガタのないように組み立てるのがポイントです。タワーが崩れたり倒れたりする危険性を防ぐために、組立解体作業は足場組立等作業主任者という資格を持った人の選任と監督が必要となります。

移動式足場のメリット

人の手で容易に移動することができることと、組立解体が簡単であること、短時間での組立や解体で緊急時に即応できること、さらには大幅なコストカットを見込めることがメリットとなります。

移動式足場のデメリット

設置できる場所が限られていることと、高さに限度があることがデメリットとなります。
安全面でも危険な部分が多く、転落事故やタワーの倒壊といった事故がありますので、これを使用するためにはしっかりとした管理が必要となります。

脚立足場

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脚立足場とは、壁の低層部の塗装や、屋内の壁や天井やダクト整備など、普通に作業するのは困難だけれども足場を使うまでもないような高さの作業を行う時に、脚立と脚立の間に足場板を渡して作る仮設の足場となります。
脚立は、「ウマ」とも呼ばれる、持ち運びが可能な折りたたみ式の踏み台のことです。この脚立を均等に並べて、あいだに足場板を渡してゴムバンドで固定します。

脚立足場のメリット

組立と解体が簡単なことです。脚立と足場板を用意し、板が動かないようにゴムバンドで脚立に固定するだけなので、組み立てることも解体することも簡単です。

脚立足場のデメリット

作りが簡単な分、安全性や安定性には不安が残ります。墜落事故の多くは2メートル以下の低い高さで発生しており、墜落の危険性は脚立足場の高さであっても十分にあります。
また高さ自体が脚立の高さに制限されるため、それほど高所の作業に用いることができないという限界もあります。